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あなたの会社だけではない!日本でDXが進まない理由その① 進まない理由、進めたくない理由はいっぱいある

デジタル化、デジタルトランスフォーメーション(DX)。
最近ではサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)など、巷のプレイヤーやメディアによりどんどん新しい言葉が誕生しています。
しかしながら、どこの企業も数年来、一歩も進んでおらず、Excelなど既存ツールを駆使する職人技で切り抜けていることも多いかと感じます。

 

日本でDXが進まない理由などはWEBにたくさん語られているのでお譲りするとして、仕事柄DXやデジタル化に関わった私的観点で、もう少し生々しい視点をお伝えし、「自分の会社はDXが進まない」「プロジェクトリードしているけど一向に前進しない」という不安や悩みを抱えているかたにあ~そうだよな~と思っていただけると幸いです。

 

ちなみに、こうすべきだ論はないので解はないです。単に、「あ~自分のところだけでなくほかの会社も一緒なんだ」と思って、少し安心してもらえるといいなと思います。


ちなみにDXが進まない理由のアンケートでは7割が構想、体制に課題と出ていますね。
私の書いている内容も、体制って言えば体制の話かなとも。

www.sbbit.jp

 

DXが進まない理由とは(私見
日本でDXが進まない理由、それは当たり前なんですが、DXに取り組まない、前に進まない、システムを導入しないからです。DXって言葉の定義と規模感もありますが、それぞれ企業により、導入内容、施策、規模感は異なるかと。
例えば製造業ではトヨタ自動車が自社の○○工場の投入計画、製造などの工程をデータと連動したロボットを導入することと零細企業が、型抜きだけをロボット化しデータで投入生産計画と連動することは、規模は違いますがどちらもDXと言えます。

 

逆にトヨタが型抜き工程の一部をDXにしました。といっても企業規模が大きいので、その場合はDXと言えますが部分最適となり、生産力向上に繋がる要素は限定的であるといえるかもしれません。(トヨタさんごめんなさい。あくまでも例題です)
ということは各企業に適した規模でDX化を進めないと、投資効果は限定的になります。
従ってどこの企業も、それなりの規模で導入しようとします。

 

するとどうなるでしょう。1部署で完結することなく、部門横断型のプロジェクトとなります。そうなると、途端に各部、セクションの利益反芻が発生し途端にプロジェクトはスタックすることが多い。トップダウンで横断型プロジェクトチームを発足して推進しても同じことが起こります。そして結果として検討段階まで進みますが、導入はスタック、またはかなり規模を縮小した施策となり効果が限定的になる。

 

注意点は、目に見えてスタックしているなら対応しますが、検討会(総論)賛成、意思決定段階(各論)反対が起こることが多い。総論賛成、各論反対ですね。この場合、推進段階は順調。しかし実は、誰も賛同しておらず、机上の空論のまま月日が流れる。特に社長直轄プロジェクトとなどでスタートして、現場の声(各論を反対する人々)でつぶれることを結構経験しましたね。


まさかの十数年前に頓挫したプロジェクトが再始動
ある企業では、十数年前にDXに取り組むために、2年のかけて計画を立てられました。
そして、テストとしてシステム導入を行い、テスト運用を行いましたが、結果、誰も使わなかったのでテスト段階でお蔵入り。そこから、十数年放置され、再び同じ議論が出てきます。導入支援ベンダーが入り、「万全の態勢ですすめる」という意気込みで、順調に進んでいるように感じていましたが、意思決定会議が行われる週の月曜日からあちらこちらから、反対意見が出てきて、最終的には全く違った目標に仕上がっていましたね。


DXはというと、反対勢力からも攻撃を受けて、お蔵入り。こうして、DXは机上で議論されつくされることはあるが、現実的に導入できない状況。議論につくした時間は半年という感じでした。

進められないのではなく、意図的に進めたくない力が働いているとしか考えにくい状況と感じます。進めたくない人は現場に多く、現場で多くの知見を持っている仙人のような社員がボトルネックになっていました。プロジェクト参加者が「進めるために課題を解決する」という意思はなく、仙人社員が呈示する”出来ない論”が山積みに。この、仙人社員は意図的に進めないようにして自分の仕事を守っているとか、他人に手柄を取られなくないと言った悪意ではなく、「DXなんて信じられるか。進めたら会社がぐちゃぐちゃになる。俺は(私は)会社を守っているんだ」という善意が多いように見受けられました。だからこと逆に厄介なんですよね。まぁ中には「DXを進めて効率化されたら自分の無能ぶりが浮き彫りになる」という理由で反対する人もいましたけど。

 

たしかに既存の業務に慣れた人にとっては変化は面倒だし、運用責任部署である自分たちが計画に賛同してしまうと後々、責任取らないといけないからという理由も意図的に進めない理由であると考えられます。そして、一部機能の改善程度の導入にとどまることが良くありました。一部でも導入できればそこから課題を抽出して進めるというのもあるのでOKかとも思います。


ちなみに会議の席も酷いもので、担当役員が不在の会議では両部賛同しているが、役員が出席する、何かを意思決定する会議では、真逆のことを話したり、書類の記載事項の枝葉末節にこだわって議論を壊したり。。。


海外の企業にしてやられている始末
そうしているうちに海外企業は着々とあの手この手で進行し業界シェアを奪っていくんですね。自分たちの乗る船が沈むのに、自分の部屋はキレイにしておくって感じですかね。

大なり小なりこのようなことを見てきまして、日本ではDXを進めるのは無理なんではなくイヤなんだろうなと思います。

 

でも、ディスカッション(本来の意味の議論ではなく、単に迎合しあう話し合い)は大好きで、「DXとはこうあるべきだ!」「こうすればDXは進む!」は大好き。あと勉強も大好きであちこちでセミナーも開催され大盛況(だろう)。

 

こういう時期を経て、あたらしい改革が進んでいくのかとも思いますが、昨今世の中の文化風潮を変えているのは、海外のテクノロジーや企業が多く、強く我々の日常生活に食い込み、切っても切きれない関係になっていることを考えると、日本企業に勤めること自体リスクなんじゃないかなとも感じています。

 

日本企業でも大手自動車メーカーでは改革のトップダウンが「人ごと入れ替えるぞ!」と強い現場に立ち向かい、世界と戦う本気の姿勢が見て取れます。

www.jiji.com

今回は単に私が見てきた一例ですが、DXが進まない理由はDXを進める気がない。ということはあながち的外れでもなさそうかなと。私もDXに仕上げれられなかったなという悔しさもありつつ、まぁしゃーなかったなとも感じています。もちろん、進められている企業もたくさんある。特に既存ビジネスのDX化というのよりも、市場を攻めるための新しいサービスやプロダクト開発は、手探り状態ですが前進している例も多くあります。それらはまたの機会にご紹介できればと思います。自社でDXが進まない!プロジェクトが動かない!という方々は、皆さんだけの課題じゃないですよ。と思って頑張っていただければと。